95歳、現役。
2022.1.28
…こう書くと健康食品か健康器具のコマーシャルの様ですが(笑)。
95歳、誰の事?
はい、トニー・ベネットです。
ジャズ歌手として最高齢かつ最高のパフォーマー。
その彼が、レディー・ガガと共にまたまたやってくれました。
昨年10月、彼女との2枚目のデュエットアルバム「ラブ・フォー・セール」をリリース
それに先立つ8月3日の95歳の誕生日と同5日にコンサート公演。うわー…
トニー・ベネット&レディー・ガガの最初のデュエットアルバムは2014年リリースの「チーク・トゥ・チーク」。
それまでケバいお姐さん(失礼!)ぐらいの認識しかなかったレディー・ガガが、年齢差60歳の大ベテランであるトニー・ベネット相手に堂々たるジャズの歌いっぷり、たまげたものです。
トニー・ベネットの貫禄は言うに及ばず。そして2人とも実に楽しそうでした。
この前作はスタンダードナンバー集でしたが、新作は名作曲家コール・ポーターの作品集です。
タイトル曲、ナイト&ディ、ソー・イン・ラブなどの有名曲はもとより、
私が初めて耳にした中にも素敵な歌が目白押し
ドゥ・アイ・ラブ・ユーやレッツ・ドゥ・イット、ドリーム・ダンシングなどをライブで演奏したくて、コピー・譜面を起こしました。
コピーしていて気がついたのは、あらためてコール・ポーターのメロディ・メイカーとしての素晴らしさ。
シンプルで決して音数が多いわけでもないのに、惹きつけられるものがあります。意表を突いたコードの展開もあり、演奏のやりがいがあります。
たまに50小節を超える長いテーマもあり、ちょっと大変ですが(笑)
そしてトニー・ベネットの何とも味わい深い歌唱、ノリ。
レディー・ガガと歌い分けていくメロディで彼の受け持ちのパートになると「あれ、このリズムのノリはどう記譜すればいいんだろう?」と戸惑う部分がしばしば出現します。
この、譜面に書ききれない絶妙なノリが、実に長い年月をかけて彼が培ってきたジャズの味なのでしょう。
普通この年齢では考えられない声の張りや艶も、長年聴き続けてきたファンを裏切らない宝物です
トニー・ベネットは現在アルツハイマー病を患っており、昨年8月のコンサートを最後にステージから引退しました。
もう生で彼の歌声を聴く事は叶いませんが、確実なのはジャズの魂とも言うべき物が、レディー・ガガや参加ミュージシャン、感銘を受けた人々に受け継がれていくという事です。
トニー・ベネット、ユー・アー・ザ・トップ(=新作の最後の収録曲)
ジャスミンティー